久高島で「郵便局に泊まる」体験をしてきた

あるとき耳にした「久高島では郵便局に泊まれるらしい」という話。
にわかには信じがたいその情報を確かめに、夏の久高島へ行ってきました。
船に乗れば、あっという間に「神の島」

久高島へは、沖縄本島・南城市の安座真港から船で向かいます。
高速船で約15分、フェリーでも25分と気軽にアクセスできる距離です。

港には「神の島 久高島 いめんそーり」とありました。
久高島は、古くから「神の島」として知られています。
琉球の創世神話に登場する女神・アマミキヨが降り立ったとされ、今もなお島内には聖域や御嶽(うたき)と呼ばれる神聖な場所が点在。
島全体が信仰の対象でもあり、観光地でありながらどこか厳かな空気をまとっています。
宿泊予約は、郵便局に直接電話
今回の目的地は、島の郵便局。とはいえ、そこはあくまで通常業務も行っている「郵便局」。
民宿やホテルのような「宿泊施設」として紹介されているわけではありません。
宿泊予約は電話一本。
「はい、久高島簡易郵便局です」という声に「そちらに泊まりたいのですが」と返すという、なかなかシュールなやり取りが発生します。でもそれで正解。空きがあれば予約完了です。
案内板にも載ってない!?不安を抱えて郵便局へ

最終便で久高島に到着し、案内板を確認。飲食店や宿泊施設の情報が載っているものの、郵便局の名前は見当たりません。公共施設として記載されているのみです。


事前に予約は済ませているとはいえ、本当に宿泊できるのか一抹の不安をかかえながら郵便局を目指します。

港から10分ほど歩き、郵便局に到着。

しかし建物の扉はすでに閉まっていて、掲示板にも「宿泊」に関する記載はなし。
野宿の可能性が頭をよぎります(なお、久高島にはハブはいないのでその点だけは安心)。
「お待ちしてましたよ!」ホッと安心のチェックイン

郵便局の裏手へ回って声をかけると、「お待ちしてましたよ!」と笑顔で出迎えてくれる声。ホッと胸をなでおろします。

案内されたのは6畳ほどの和室。エアコンと冷蔵庫も備え付けられており、トイレ・シャワーは共用ながら清潔。
素泊まりで大人4,000円、中学生2,000円、小学生以下無料という価格にも驚きです。
(2025年7月時点)

部屋からの眺め。民宿ならではの落ち着き感でなごみます。

家の裏にはウッドデッキもあり、遠くに海も見えます。

郵便局の自転車。これで配達しているのでしょうか。
ちなみに久高島は番地も苗字も似ている家が多く、配達に苦労することもあるそうです。
なぜ郵便局が宿に? 背景にあった“島とのつながり”


この郵便局は、久高島出身の前局長が20年ほど前に旧公民館の跡地に建設。
郵便局民営化の際、宿泊施設としても利用されるようになりました。
現在は娘さんがその役目を引き継いでいます。
あくまで本業は郵便局のため、滞在スタイルは「ご自由にどうぞ」。
でもそれがかえって心地よく、島の空気に馴染むように過ごせました。
夕方の久高島、猫に導かれて

夕方、少し涼しくなってきた頃に散歩へ出発。
1匹の猫がこちらを振り返りながら道を先導してくれました。

海を眺めながら缶ビールを片手に過ごす。

日帰りでは味わえない、こうした何気ない時間のありがたさ。
これこそが、泊まった者だけが手に入れられる贅沢かもしれません。
ナイトツアーで出会う特別な時間

夜はナイトツアーに参加。燻製される前のイラブー(ウミヘビ)を保管している小屋や、集落の裏道などをめぐります。

巨大なヤシガニ、満天の星空、流れ星…。
灯りの少ない久高島だからこそ体験できる、静かで濃密な時間でした。
久高島を訪れる人へのお願い

久高島には、島民の暮らしと信仰を守るための大切なルールがあります。
・自然物(石・植物・貝殻など)の持ち出し禁止
・立入禁止の御嶽や聖域には絶対に入らない
・環境整備・文化保全に使われる入島協力金(任意)を支払う

協力金はキャッシュレス決済にも対応しています。
また来たい、静けさに包まれる島の夜

観光地ではなく、人が暮らしている場所としての久高島。
そんな島の営みに、そっとおじゃまするような気持ちで滞在できるといいなと思います。
皆さんも一度体験してみてはいかがでしょうか。

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