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【行ってきました】冬至に食べる琉球料理「トゥンジージューシー」をとおして沖縄の人が大切にしている食文化を紹介

一年で最も夜が長い日「冬至」(今年は12月21日)が近づいてきました。
冬を迎える一つの節目として、日本各地で様々な風習がありますが、沖縄では冬至のことを「トゥンジー」といい、この日は”トゥンジージューシー(冬至雑炊)”を炊いて仏壇にお供えし、家族の健康を祈願するという習わしがあります。

冬至を前にした12月2日、琉球菓子とお茶が楽しめるお店「koti(こち)」では、トゥンジージューシーのワークショップを開催!
今回は、琉球料理をとおして沖縄の人が大切にしている暮らしを紹介します。

ワークショップの会場は、沖縄県南部に位置する八重瀬町に今年8月にオープンした、昔ながらの郷土菓子と伝統的な王朝菓子をテーマにした茶屋「koti(こち)」です。

ワークショップの講師は、店内すべての琉球菓子を監修しているという琉球料理伝承人の津嘉山 恵子(つかやま けいこ)さん。

津嘉山先生は、海外で琉球料理屋を立ち上げた経験を活かし、帰国後は伝統的な琉球料理の調理法や味を継承し、沖縄の伝統的な食文化を伝える活動を行っています。

今回の料理テーマである「トゥンジージューシー」は、豚肉、人参、干し椎茸に、田芋(ターンム)や里芋(チンヌク)などをいれて炊きこむ”沖縄風炊き込みごはん”。

レシピや素材はとてもシンプルですが、伝統的な調理法に従い、手間暇を惜しまずに丁寧につくることが琉球料理の特徴です。

「琉球料理はおもてなしの心がつまった料理。毎日忙しいと思いますが、今日は”食べる人をもてなす”ということを意識してつくりましょうね。」と津嘉山先生。

具材は、「均等」を心がけて5ミリ角に刻んでいきます。

「時短料理が流行っていますが、たまには焦らないで料理するのもいいですよ~、
綺麗に切ることが目標ではなく、食べる人のことを考えて丁寧に切るということが大事。」

”均等に”というプレッシャーに、少し緊張気味の参加者のみなさんでしたが、
「テストじゃないから大丈夫よ~、愛情を持って切ったら大正解。」
と声をかける津嘉山先生の言葉に、徐々にみなさんの表情が和らいでいきます。

今やコンビニでも目にするようになったジューシーですが、トゥンジージューシーには田芋(ターンム)が重要な材料として使われます。田芋は水田で栽培される里芋の一種で、子孫繁栄の縁起物とされ沖縄では色々な料理に使われています。

今回は、田芋の食感を活かすため、少し大きめの角切りに。(もちろん各家庭の好みでOK)

ご飯を炊くお出汁は基本は 豚出汁ですが、濃いめに取ったかつお出汁でも美味しくいただけます。
琉球料理の重要な要素である豚骨や鰹節を使ったお出汁を取るときももちろん、”丁寧に焦らないこと”が大事。

コトコトゆっくり煮だしていると、かつお出汁の良い香りが店内に広がって、湯気がゆらゆら。

「だ~、そんなに焦らんでい~さぁ」と言われている気がします。

最後は、炊きたてのトゥンジージューシーをみんなで美味しくいただきました。沖縄の方言で「あじくーたー(味が濃い)」と言う言葉がありますが、うま味をたっぷり含んだ豊かな味わいはまさに、この表現!

今回、津嘉山先生から琉球料理の伝統的な調理方法とともに学んだことは、「ウトゥイムチ(おもてなし)の心」。琉球料理の優しくて深い味わいは、沖縄の文化的背景から生まれたものであり、作り手の愛情と手間ひまが反映されていると感じました。


古民家と琉球菓子。沖縄の文化を継承し、提供していく

「koti」は、琉球・沖縄で生まれ育った工芸や食など、 日々の暮らしを少し楽しく豊かにしてくれる島の良いモノたち提案するソーシャルデザインカンパニーゆいまーる沖縄が手がけるお店。
築65年の古民家に住んでいたオーナーの残したいという思いと、「お店を通して、沖縄の暮らしの文化を伝えていきたい」という思いがつながりオープンしました。

伝統的な家屋の構造が体感できるようにリノベーションされた空間は、新しくも懐かしい雰囲気。地域の方も飾られた民芸品を見て、昔の暮らしを懐かしむ方もいらっしゃるようです。

店内では王朝菓子である「チンスコウ」や美しい藤の花を模した焼き菓子「花ぼうる」をはじめ郷土菓子の「アガラサー」「ぜんざい」など様々な種類の琉球菓子が、県産茶やさんぴん茶、珈琲とともに楽しめます。

「ウミンス」など初めて聞くお菓子もあって、存続の危機にある伝統の味を残していきたいという思いが強く感じられました。

また、やちむんや琉球漆器、琉球ガラスなどの器、お膳やお座りいただく円座もすべて沖縄の作り手さん達の手仕事にこだわっています。

お菓子やお茶を楽しむための工芸品や生活雑貨、提供する際に使用する器やカップは、お店で販売しているので使って気に入ったら購入できるのも魅力的ですね。

沖縄の食や暮らしを五感で感じることのできる「koti」。今後も、季節や行事に合わせてイベントを開催するようでとても楽しみです。

沖縄旅に来た際は、琉球の時代から続いてきた文化のひとつである琉球菓子をとおして「沖縄の暮らしの文化」を覗いてみてくださいね。

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koti(こち) 琉球菓子とお茶
場所:沖縄県八重瀬町東風平352−1(東風平中学校裏)
営業日:木、金、土
営業時間:11時〜17時(LO 16時30分)
instagram https://www.instagram.com/koti_okinawa/

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取材のあしあと

店内に飾られている紅型の作品は、お店のオープンを記念して制作された紅型作家をしているゆいまーる沖縄スタッフさんの手作りだそう!津嘉山先生の明るい人柄をイメージしたカラフルな模様が素敵♪kotiで提供されている5種類の琉球菓子が隠れているので、ぜひ探してみて。

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